ブリックスアンドモルタル産駒とは?父の驚異的な経歴と産駒の評判

近年、日本の競馬界に新たな風を吹き込んでいる種牡馬、それがブリックスアンドモルタルです。産駒(子供たち)が次々とターフを賑わせる中、「ブリックスアンドモルタル産駒にはどのような特徴があるのか?」と疑問に思うファンは少なくありません。この記事では、その特徴をデータと共に徹底解説します。

”成功率50%”の手術を乗り越えた不屈の名馬、父の競走成績

ブリックスアンドモルタル産駒の特徴を語る上で、まず父であるブリックスアンドモルタル自身の驚異的な競走馬時代を理解する必要があります。アメリカで産まれた彼は、2017年のデビューから無傷の4連勝で重賞を制覇するなど、早くからその才能を開花させました。

しかし、その栄光の裏で深刻な跛行(はこう)に苦しみ、陣営は成功率50%とも言われた難しい手術を決断します。名獣医ラリー・ブランリッジさんが執刀した手術は見事成功しましたが、その後1年以上に及ぶ長い休養を余儀なくされました。

多くの馬がキャリアを終えてもおかしくない逆境を乗り越え、2019年に復帰したブリックスアンドモルタルは、まるで別次元の馬へと進化を遂げます。ペガサスワールドカップターフを皮切りに、アーリントンミリオン、そして引退レースとなったブリーダーズカップ・ターフまでG1・5勝を含む怒涛の7連勝を記録。その年のエクリプス賞では年度代表馬と最優秀芝牡馬に満票で選出され、まさにアメリカ競馬の頂点に君臨する形で有終の美を飾ったのです。

デビュー後の評判は?「サンデーサイレンスの再来」は本当か

輝かしい実績を引っ提げ、社台グループの吉田 照哉さんが種牡馬としての権利を購入。鳴り物入りで日本での種牡馬生活をスタートさせました。その期待の大きさから、牧場関係者の間では「サンデーサイレンスの再来」とまで囁かれるほどの高い評判を集めます。

その期待に応えるように、2023年にデビューした初年度産駒のテラメリタが、その世代のJRA最初の新馬戦を勝利で飾り、産駒として初出走・初勝利という最高のスタートを切りました。吉田 照哉さんも「今日はそのへんりんを見せてくれた。楽しみですね」とコメントするなど、その滑り出しは順風満帆に見えました。初年度産駒からG1級競走の勝ち馬も登場し、ブリックスアンドモルタル産駒は今、競馬界で最も注目される血統の一つとなっています。

    1. ”成功率50%”の手術を乗り越えた不屈の名馬、父の競走成績
    2. デビュー後の評判は?「サンデーサイレンスの再来」は本当か
  1. 【データで徹底解説】ブリックスアンドモルタル産駒の9つの特徴
    1. 特徴① 芝とダートの適性は?基本は「芝」だがダートも走る?
    2. 特徴② 得意な距離は?ベストは1600m〜2000mか
    3. 特徴③ 得意な競馬場・コースは?「左回りの鬼」という傾向
    4. 特徴④ 脚質(走り方)の傾向は?先行力が武器か
    5. 特徴⑤ 道悪(重馬場・不良馬場)の適性はあるのか
    6. 特徴⑥ 成長タイプは早熟?それとも晩成?
    7. 特徴⑦ 産駒の馬体は小さいって本当?物理的な特徴
    8. 特徴⑧ G1級の大物は出る?産駒のポテンシャル
    9. 特徴⑨ 気性や性格の傾向は?父から受け継ぐ才能
  2. ブリックスアンドモルタル産駒の代表馬・注目馬一覧
    1. 【G1/Jpn1級】主な勝ち馬リスト
    2. 【重賞ウイナー】を紹介
    3. これからの活躍が期待される注目馬は?
  3. 【馬券術】ブリックスアンドモルタル産駒の「狙い方」と「消し方」
    1. 回収率アップ!狙い目のコースとレース条件は?
    2. この条件は危険?苦手なコースと消し条件
    3. 相性の良い母父(BMS)は?血統的な狙い目
    4. どのクラスで買うべき?新馬戦より1勝クラスが狙い目か
  4. まとめ:ブリックスアンドモルタル産駒の特徴と今後の可能性

【データで徹底解説】ブリックスアンドモルタル産駒の9つの特徴

では、具体的にブリックスアンドモルタル産駒にはどのような特徴や傾向が見られるのでしょうか。データベースに基づき、9つの観点からその特徴を詳しく解説します。

特徴① 芝とダートの適性は?基本は「芝」だがダートも走る?

ブリックスアンドモルタル産駒の最も顕著な特徴として、芝コースで非常に高い適性を示すことが挙げられます。データ上でも芝での勝率は10%を超えており、ダートを大きく上回っています。父がアメリカの芝路線で無敵を誇ったことを考えれば、これは順当な傾向と言えるでしょう。

ただし、ダートが全くダメというわけではありません。初年度産駒からアンモシエラがダートのJBCレディスクラシック(Jpn1)を制したように、ダートで頂点を極める馬も出現しています。これは、配合される母系の血統がダート適性を引き出している可能性を示唆しており、「基本は芝向きだが、中にはダートの一線級も現れる」と覚えておくのが正解です。

特徴② 得意な距離は?ベストは1600m〜2000mか

産駒の得意な距離は、芝の1600m(マイル)から2000mの中距離に集中している傾向があります。父自身も現役時代は1700mから2400mまで幅広い距離のG1を制しており、その中でも特にマイルから中距離での強さが際立っていました。

産駒も1400mから2000mの範囲で安定して好成績を収めています。一方で、1200mなどの短距離や、2400mを超える長距離ではやや成績が落ちる傾向が見られます。馬券を検討する上では、この「1600m〜2000m」という距離が大きなヒントになります。

特徴③ 得意な競馬場・コースは?「左回りの鬼」という傾向

非常に興味深い特徴として、ブリックスアンドモルタル産駒は左回りのコースで特に強さを発揮する傾向があります。具体的には、東京競馬場、中京競馬場、新潟競馬場といった、直線が長く広いコースでの成績が際立っています。

これは、産駒が父から受け継いだ大きなストライドと持続力のあるスピードを、直線の長いコースで存分に活かせるためと考えられます。逆に、中山競馬場のような右回りで直線の短いコースはやや苦手とする傾向が見られるため、競馬場による得意・不得意は明確に存在すると言えるでしょう。

特徴④ 脚質(走り方)の傾向は?先行力が武器か

産駒の脚質(レースでの走り方)は様々ですが、データ上は先行してレースを進める馬の成績が安定しています。レース序盤で良い位置につけ、そこから粘り込む競馬が勝ちパターンの一つとなっているようです。

しかし、父が持っていた「信じられないほどの度胸と加速力」という特性は産駒にも受け継がれており、後方から鋭い末脚で追い込んでくる馬も少なくありません。代表産駒のゴンバデカーブースが見せたような瞬発力もあり、単純に「逃げ・先行タイプ」と決めつけず、各馬の個性を見極める必要があります。

特徴⑤ 道悪(重馬場・不良馬場)の適性はあるのか

馬場状態への適性については、現在のところ道悪、つまり時計のかかる重馬場や不良馬場を苦手とする産駒が多いというデータが出ています。

父自身がパワーよりもスピードと瞬発力を武器にしていたこと、そして産駒の主戦場がスピードの出やすい日本の芝コースであることを考えると、綺麗な良馬場でこそ真価を発揮するタイプが多いと推測されます。雨が降って馬場が悪化した際には、評価を少し下げる必要があるかもしれません。

特徴⑥ 成長タイプは早熟?それとも晩成?

成長タイプについては、まだ産駒がデビューして日が浅いため断定はできませんが、父の競走生活が大きなヒントになります。ブリックスアンドモルタル自身、本格的な才能を開花させたのは、大怪我を乗り越えた5歳の時でした。

このことから、産駒も若い時期の活躍だけでなく、古馬になってからさらに成長する「晩成」のポテンシャルを秘めている可能性があります。2歳や3歳の時点で結果が出ていなくても、長い目で見守るべき血統と言えるかもしれません。

特徴⑦ 産駒の馬体は小さいって本当?物理的な特徴

「ブリックスアンドモルタル産駒は馬体が小さい」という噂を耳にすることがありますが、これは一概には言えません。確かに、産駒には筋肉質でパワフルというよりは、父を彷彿とさせるようなしなやかでバランスの取れた、俊敏さを感じさせる馬体の馬が多く見られます。

社台スタリオンステーションの徳武 英介場長も、産駒には「父の特徴が馬体にも現れてくる」とコメントしており、過度に大きいわけではないが、競走馬として理想的なバランスを持つ馬が多いのが特徴と言えるでしょう。

特徴⑧ G1級の大物は出る?産駒のポテンシャル

種牡馬の価値を測る上で最も重要な「G1級の大物を出す能力」については、ブリックスアンドモルタルは既にそのポテンシャルを証明しています。前述の通り、アンモシエラがJpn1を制し、ゴンバデカーブースが後のG1馬を相手に重賞を勝つなど、初年度産駒から世代トップクラスの馬を輩出しています。

父が持っていた世界レベルの能力は、間違いなく産駒に受け継がれています。今後、質の高い繁殖牝馬との配合がさらに進むことで、クラシック競走や古馬G1戦線を賑わす大物が次々と登場する可能性は非常に高いでしょう。

特徴⑨ 気性や性格の傾向は?父から受け継ぐ才能

気性面では、父の現役時代を管理したチャド・ブラウン調教師が「類まれなる才能」「信じられないほどの度胸と加速力」と評したように、非常に前向きで勝負根性のある性格が産駒にも伝わっているようです。

レースでの前向きな姿勢や、競り合いで見せる粘り強さは、この精神的な強さに由来するものでしょう。社台ファーム代表の吉田 照哉さんが「乗っている牧場の人はサンデーサイレンスの再来と言っている」と語った背景には、この優れた気性も含まれていると考えられます。

ブリックスアンドモルタル産駒の代表馬・注目馬一覧

ブリックスアンドモルタル産駒からは、すでに多くの活躍馬が登場しています。ここではその代表格と言える馬たちを紹介します。

【G1/Jpn1級】主な勝ち馬リスト

初年度産駒からG1級競走を制し、父の名を大きく高めた馬として、まず名前が挙がるのがアンモシエラです。彼女はダート路線でその才能を開花させ、2024年のJBCレディスクラシック(Jpn1)を見事に制覇しました。芝血統と思われていた中でダートの頂点に立ったことで、産駒の適性の幅広さを証明しました。

【重賞ウイナー】を紹介

G1級以外にも、重賞戦線でその名を轟かせた実力馬がいます。ゴンバデカーブースは、2歳の時点でサウジアラビアロイヤルカップ(GIII)を制し、産駒初のJRA重賞タイトルをもたらしました。その鋭い決め手は、父の能力を色濃く受け継いでいます。また、イーグルノワールもダートの兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)を勝つなど、早い時期から高い能力を示しています。

これからの活躍が期待される注目馬は?

これらの代表馬だけでなく、アスクカムオンモアやクランフォード、セシリエプラージュといった馬たちも、オープンクラスで着実に賞金を積み重ねており、今後のさらなる飛躍が期待されています。まだデビューしていない下の世代にも良血馬が多数控えており、これからも新たなスターホースが登場してくることは間違いないでしょう。

【馬券術】ブリックスアンドモルタル産駒の「狙い方」と「消し方」

ここまで解説してきた特徴を踏まえ、馬券を購入する上での具体的な「狙い方」と「消し方」をまとめます。

回収率アップ!狙い目のコースとレース条件は?

馬券でブリックスアンドモルタル産駒を狙う上で最も重要なのは、「東京・中京・新潟といった左回りで直線の長い競馬場」そして「距離1600mから2000mのレース」です。この条件が揃った時、産駒は自身の能力を最大限に発揮できます。特に、軽い芝の良馬場であれば、信頼度はさらに高まります。

この条件は危険?苦手なコースと消し条件

一方で、狙いを下げるべき、いわゆる「消し」の条件も存在します。まず挙げられるのが、苦手とする「右回りの小回りコース」、特に中山競馬場などです。さらに、時計のかかる「道悪(重馬場・不良馬場)」も割引が必要です。人気になっていても、これらの苦手条件が重なった場合は、疑ってかかるのが賢明な判断と言えます。

相性の良い母父(BMS)は?血統的な狙い目

血統面では、日本の主流血統であるサンデーサイレンスの血を持つ繁殖牝馬との相性の良さが指摘されています。特に母の父(BMS)がディープインパクトやキングカメハメハといったリーディングサイアーの場合、安定して能力の高い産駒が生まれる傾向があります。馬券検討の際には、母系の血統にも注目してみると良いでしょう。

どのクラスで買うべき?新馬戦より1勝クラスが狙い目か

興味深いデータとして、新馬・未勝利戦よりも、レース経験を積んだ「1勝クラス以上」でパフォーマンスが向上する傾向が見られます。これは、産駒がレースを経験することで学習し、自身の能力を発揮できるようになるためと考えられます。新馬戦で人気を裏切った馬が、次走以降でガラリと変わるケースも多く、継続して注目する価値がある血統です。

まとめ:ブリックスアンドモルタル産駒の特徴と今後の可能性

最後に、ブリックスアンドモルタル産駒の特徴と将来性についてまとめます。

ブリックスアンドモルタル産駒の最大の特徴は、芝の中距離、特に左回りコースでの優れた適性です。綺麗な馬場でこそ、そのスピードと瞬発力を最大限に活かすことができます。父から受け継いだ前向きな気性と勝負根性を武器に、レース経験を積むごとに成長していく傾向があります。ダートや道悪は基本的には不得手ですが、中には母系の影響でこなす馬もいるという、奥深い側面も持っています。

父ブリックスアンドモルタルは、現役時代に逆境を乗り越え、絶対的な強さを示しました。そのドラマチックな経歴と確かな能力は、間違いなく産駒へと受け継がれています。今後も質の高い繁殖牝馬が集まることが予想され、クラシック戦線や古馬G1を席巻するような大物が登場する土壌は十分に整っています。

「サンデーサイレンスの再来」という評価は最大級の賛辞ですが、ブリックスアンドモルタルは、彼自身の新たな血統の歴史を日本競馬に刻み始めています。その産駒たちの活躍から、今後も目が離せません。”

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